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AKB48の終わりのはじまり ②【日本のアイドルに注目 (90)】

総選挙では大金が動く

前回の続きです。本来なら11回めの総選挙が行われるはずだった2019年にAKB48の総選挙が行われないのは、まあ、新潟のあの事件があったからだろうと直感的に理解する人が多いでしょう。全国区のニュースになるくらいの不祥事ですからイベント自粛はある程度しょうがないことかもしれません。

しかし投票権付CDの売上は300万枚、開催都市で発生する経済効果はウン10億円が見込め、テレビのゴールデンタイムに地上波で生中継されるというドル箱イベントです。たくさんのお金が動くのでレコード会社や運営会社など、メンバー以外でもたくさんの人がこのイベントの有無によって経済的な影響を受けるはずです。

それを中止していいのか、あるいは不祥事が起きたのであればむしろ起死回生に利用することも可能なのではと考えることだってできるかもしれません。2019年、AKB48は本当に総選挙を開催しなくていいのでしょうか。

AKB48大ブレイクのきっかけは総選挙

そもそもAKB48が社会現象といわれるほどの人気を得て、ギネスブックにも認定されるくらいの規模にまで拡大したきっかけは総選挙でした。20歳前後のアイドルのかわいらしい女の子たちにファン投票で順位をつけ、全員が勢ぞろいしているところで発表してよろこんでいたり悔しがっている姿を生中継するなんていう悪趣味なイベントが世間に大ウケしたのです。しかも2回めの総選挙において、絶対的エースとみられていた1回めの1位前田敦子大島優子に逆転されるという波乱、しかもその2人の3回め総選挙における「私のことは嫌いでも~」「私たちにとって票数は愛~」という名スピーチが、ファンだけでなく世間のたくさんの人の心をつかんだことも大きかったと思われます。

前田大島前田大島で4回めまで昔の藤波辰爾長州力の名勝負数え歌みたいな状況が続いたあと、アイドルというよりもバラエティタレントとして頭角を現していた指原莉乃が5回めの総選挙の1位になり、王道アイドル渡辺麻友の1位を1回はさんでのV4、しばらく指原時代が続きました。

そして昨年、2018年は指原や卒業した渡辺だけでなく、指原と争えるくらいの人気を誇っていた柏木由紀山本彩も総選挙に出馬しませんでした。そのため1位のハードルが低くなって狙える位置に繰りあがったメンバーとそのファンが熱くなる一方、スターが出馬していない総選挙に対する世間の注目度はさがるという「村内イベント化」が進んだのでした。具体的には投票権付CDの売上げ枚数は過去最高にしてテレビの生中継の視聴率は過去最低という状況です。

この村内イベント化にはメンバーに対するプレッシャー強化という面がありました。総選挙前のイベントで疲労やプレッシャーによって倒れてしまったり、ライバル関係にあるメンバー同士がギスギスして記者会見中に表に出せない発言があって運営に公表NGとされたり、メンバー本人による投票が大量に行われたり、ファンに対する常識を超えた投票依頼があったり、など悪い影響がそこここで出ていました。

メンバーのメンタル面、いやメンバー個人に限らずファンも含めたグループ全体で総選挙の継続がもはや経済的なプラスよりも大きな弊害を生むようなところまで来ていたのです。来年の総選挙開催を危ぶむ声が、選挙シングルがリリースされる頃にすでにファンの間で出はじめていました。

そこに、新女王の長期休養がひと段落したあとにたまたま新潟での不祥事が続いただけです。昨年の総選挙直後フジテレビの社長が株主総会で株主からの質問に答えていたように次の総選挙は地上波での生中継が行われない見込みであったことがすでに決定打になっていたと思われます。新潟での不祥事が起きていなくても今年の総選挙は開催されない可能性が高まっていたのです。

私は、今年に限って総選挙を休止するという判断であれば正しいと考えます。同時に、来年はぜひ復活してほしいと願っています。総選挙はAKB48アイデンティティであり、総選挙が行われなくなってしまったらAKB48は終わってしまうと考えているからです。

(この記事終わり。(91)指原莉乃卒業コンサート